• 宵の口。峠道をクルマで上がると、
    満月に二三日足りない月が浮かんでいて
    明るく深く青い空を背景にして雑木林の木々の枝がシルエットをなしていた。
    峠を越えて海沿いにクルマを停めると、
    月明かりは冷たく鋼のように水面を覆っていた。
    その輝きに浮かぶ舟がまたシルエットをなしていた。