2項間漸化式の解法


例題:漸化式 a_{n+1}=2a_{n}-1, a_1=3 で与えられる数列の一般項を求めよ。

この問題は次のように解きます。まず漸化式 a_{n+1}=2a_{n}-1 は次のように書き換えることができます:


(Eq.1) a_{n+1}-1=2(a_{n}-1).
ここで b_{n}:=a_{n}-1 とおくと、この式は b_{n+1}=2b_{n} となって公比2の等比数列であることが分かります。なぜこんな式変形に思い至るのでしょうか?式変形の元になった発想を言う前に、まずは一般項の計算をしましょう。この式は任意の自然数nで成り立っています。つまり

(Eq.2) a_{2}-1=2(a_{1}-1), a_{3}-1=2(a_{2}-1), a_{4}-1=2(a_{3}-1), a_{5}-1=2(a_{4}-1), …(以下略
となっています。ここで1番目の式を2番目の式に代入すると

(Eq.3) a_{3}-1=2(a_{2}-1)=2(2(a_{1}-1))=2^{2}(a_{1}-1)
となります。ここでこの式を3番目の式に代入すると

(Eq.4) a_{4}-1=2(a_{3}-1)=2(2^{2}(a_{1}-1))=2^{3}(a_{1}-1)
となります。ここでこの式を4番目の式に代入すると

(Eq.5) a_{5}-1=2(a_{4}-1)=2(2^{3}(a_{1}-1))=2^{4}(a_{1}-1)
となります。ここでこの式を…【途中略(^^;】…n-1番目の式に代入すると

(Eq.5) a_{n}-1=2(a_{n-1}-1)=2(2^{n-2}(a_{1}-1))=2^{n-1}(a_{1}-1)
となります。ここでこの式にa_{1}=3を代入して

(Eq.6) a_{n}-1=2^{n-1}(a_{1}-1)=2^{n-1}(3-1)=2^{n}
となります。最後に右辺の1を移項して

問題の答え:a_{n}=2^{n}+1
が得られます。

式変形のやり方

ではなぜa_{n}-1なんて式変形を思いつくのか?というか -1 ってどうやって求めたのでしょうか。まず計算の方法ですが


漸化式a_{n+1}=2a_{n}+1に対し
(Step.1)a_{n},a_{n+1}xと置き換え、1次方程式x=2x-1を作る。
(Step.2)1次方程式x=2x-1の解(x=1)を求める。
(Step.3)その解(x=1)をa_{n}から引き算したもの {a_{n}-1} は等比数列となる。
とやって等比数列の問題に帰着させます。なぜ等比数列になると気付くのかというと、式を見ると大雑把には「ある項は一つ前の項のおよそ2倍」なので「多分、等比数列っぽいヤツになるんとちゃうやろか」などとヤマを張って式変形をするのです。

ですから「答えを出すだけ」ならば、いきなり「公比2の等比数列とちょっとのズレだろうから答えの形はa_{n}=2^{n}A+B」と置いて、a_{1}=3=2A+B, a_{2}=5=4A+B から A=1, B=1 を出しても答えは出ますね。

式変形の意味

漸化式の不動点を求めているのです。