本に関するメモ

応用倫理学のすすめ (丸善ライブラリー)

応用倫理学のすすめ (丸善ライブラリー)



進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線

進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線



若者が『社会的弱者』に転落する (新書y)

若者が『社会的弱者』に転落する (新書y)

「上部構造」「下部構造」という言葉が適切かどうかはわからないが、「ニート」「負け犬」の経済的、文化的背景という「下部構造」に対する概観となっている。無理やりな要約をすれば:「オトナの条件」が解体してしまって、その各々に意識的にならないと子供の自立が促せない。
各々が意識的になって責任を持て?ムチャな。
以上は第3章「家族・親子から「若者の危機」を読む」の最初のセクションまでを読んでの感想。

若者が『社会的弱者』に転落する (新書y) 読了 オレ様化する子どもたち (中公新書ラクレ) 「第一部」「終章」読了
この2冊から出てくる結論。若年層は構造的に雇用の機会が大幅に奪われ、将来的に経済的に困窮する階層が形成されるのは目に見えているが、当事者である若者のメンタリティを考えると、彼ら自身にそのことに関する意識が芽生えることは有り得ない。「下層階級」がこれから20年程度で形成される。
そのことに対し社会は「それは勉強してこなかった(機会均等は確保したのに活用しなかった)あなたが悪い」という自己責任論を持ち出すだろう。
ここで自己責任論を出すのはおかしい。なぜなら自己責任の基礎は自由主義社会の大原則である「他者危害の原則」であり、この原則が適用されるのは「判断能力のある大人」に限られるからである。未成年は多かれ少なかれ「大人」の要素が無い(とみなされる)。
[蛇足]であるから、未成年が「人に迷惑をかけなければいいじゃないか!」と他者危害原則を持ち出したら、叱り飛ばして良い。「そんな口は、社会人になって固定給をもらって、所得税国民年金、健康保険を自分の給料から払うようになるまで、きいてはいけない!」

オレ様化する子どもたち (中公新書ラクレ)

オレ様化する子どもたち (中公新書ラクレ)

著者は「オレ様」化(「消費主体」メンタリティ)の開始を1980年代頃と規定している。この時期から後には「バブル」「景気低迷期」という二つの大きな経済的エポックがあった。「不良債権処理」の結果として雇用の体系が極端に変化したという「下部構造」の変化があった。また一方でこの20年で技術が大きく進歩した。その結果、コミュニケーションツールの極端な変化による「環境」の変化があった。おそらくこの期間にも「オレ様」メンタリティの内容、質の変化はあったと思う。それは「消費主体」という本質は同じでも、何か内部パラメーターみたいなものが極端に触れたようなものだ。
この著者が使うべきであったが使われていない単語:パターナリズム

パターナリズムとは「相手の利益となるように、 相手の自由意志を踏みにじる行為」と定義される。*1

この単語を使わなかったせいで、説明がとても読みづらくなっているという印象を持った。

*1:加藤尚武『二十一世紀のエチカ』p.52,

二十一世紀のエチカ―応用倫理学のすすめ

二十一世紀のエチカ―応用倫理学のすすめ