分数関数 1/(1+x2) の積分
"1/√(x^2+1)"の検索で来た人はこっち→ 1/√(x2+a2)の積分 - あらきけいすけの雑記帳
積分を計算しよう。*1
"1/1-x^2"の検索で来た人はこっち→ 1/(1-x2)の積分 - あらきけいすけの雑記帳
まずの置き換えを計算する:
の両辺をで微分して
ついでの置換を計算する
ここではの逆関数*3。逆三角関数の記号は高校の教程には出てこない。でも逆三角関数を解く問題、例えば という計算は解かせられる。この問題を「の値を求めよ」と書いて出題できないだけである。
定積分なら次のような計算になる:
∫dx/(1+x^2)の図形的な意味
*4底辺の長さが1, 高さがの直角三角形の底角をと置くと、であたえられる。つまりのグラフのの面積を数値的に計算すれば、任意の直角三角形の形状から、その底角の大きさの数値を求められると分かる。
この応用として東京大学の2003年度入試の理系数学*5の6番「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」を底辺が1, 高さがの直角三角形の底角の大きさがラジアンであることを用いて解く。
は区間で上に凸なので*6、2個の台形*7
(1): ,
(2):
の面積を求めて
複素関数を知っている人は
よりより , の位相を求めて .
[2011.10.12] 複素数の場合の計算のラフスケッチをしよう。 をと極座標表示をすると、となる。同様にとなる。ここで極座標の位相(偏角)はとなるので、 となる。
*1:[2020.1.25]『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』p.80 には「置換積分法は,と置き換えるものを中心に扱うものとする。」との記載があるので、入試には誘導問を付けないと出しにくいのではないか。
*2:分数関数の積分の方針の立て方:1/(1+x2), 1/(1-x2)の積分 - あらきけいすけの雑記帳
*3:[2019.6.1] Inverse trigonometric functions - Wikipedia 三角関数の逆関数は多価関数なので、値域はを含む枝を取る。とも書く(こちらが主流かも)。C言語やExcelでは atan(x) で実装されている。
*4:この項は2020.1.22に追加。
*5:東大は関数の値を数値的に評価する入試問題を出すことがある。
*6:, となる。上に凸の区間ならばグラフ上の点を結んで台形を作って、面積の値を「下から」評価することができる。
*7:台形公式 - Wikipedia 定積分の値を数値計算を用いて求める方法の一つ。