遅刻83人って異常じゃなくね?

はてぶに上がっていた記事http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080711-OYT1T00389.htm「遅刻83人にゲンコツ、宇和島の中学教諭…行き過ぎと謝罪 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)」なのだが、記事中に「学年集会を開いた」「遅刻が83人いた」とある。
まず第一に、この事件が発生してから1週間以上が経過している。新聞は基本的に「速報性」のメディアなのだが、これだけのタイムラグがあった後にウェブ上の記事として掲載されたことに、単なる事実の報道だけなのかという疑問が湧く(謝罪の日付が記事に無い)。
はてぶのコメントではほとんど誰も言及していなかったが、83名と言えば1クラス40名程度として2クラス分の人数が集会に遅れている。「遅刻」という表現からは、「生徒がだらだらとしている」という印象を持ちやすいし、ぼくもはてブのコメントでは脊髄反射的に「遅刻する生徒が悪い」と書いてしまった。
しかし、これだけ大量の人数が時間に遅れるには、それ相応のなんらかの理由があるはずである。例えば「急な召集に対し、混雑のために教室等からの移動に時間がかかった」とか、、、いろいろ、、、いろいろ、、、とにかく記事の文面だけでは知りえない事情があると考えないと、何がここで起こったのかに対するきちんとした納得のいく理解に至らない(生徒側の遅刻の状況に対する記述がない)。
結果として、単に「83人殴った」ということの異常さを、「ほかの教諭6人が制止しようとしたが、止められなかった」「情熱的な指導の教諭だが」といった修辞で強調するだけの三流の教師バッシング系の煽りベタ記事である。これは取材した記者が悪いのか、ベタ記事に編集した編集者が悪いのか分からないのだが、とにかくジャーナリズムとしては最低の記事のように思える。

2008.7.13追記:もう少し細かい様子がわかる記事が出た

http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/gossip/topics/news/20080712-OHO1T00202.htm生徒83人にげんこつ制裁、宇和島市の中学教師:社会:芸能・社会:スポーツ報知大阪版
まず保護者説明会が10日夜にあった。
「全3クラス男女83人はアナウンスが流れた“後”に、それぞれ担任教師に引率され音楽室へと入った」とあるので、83人は学年の全員、教師引率のもとで現場に到着ということ。(この辺を読むと殴った教師に同情はできないな)
二つの記事でコンシステンシーが取れないのは、読売「生徒が集合時間に7分遅れた」、報知「遅れたのはあくまでも3分前集合」(これは「定時」には間に合ったという含意か?)。読売「ほかの教諭6人が制止しようとした」、報知「現場には、この男性教諭と女性のクラス担任が3人、男性の学年主任の5人」。
どちらの記事内容を信頼するかと言えば、丁寧に状況を掘り起こそうとした報知。同じ読売系列だけど。


教師引率の上で今回の事態というのは、日頃の状況はどうだったのだろうか?「殴った教師が短気」という印象を与える記事だが、それ以上に『教師引率(強いリーダーがいる)』『一クラスが30人弱(おそらくコントロールしやすい人数)』の状況で『(記事にはないが恐らくは事前にアナウンスされているであろう集会に)定時前に集合できない』という事態が生じる理由が文面から全く推測できない。例えば前の時間の授業が「体育」だったりすると時間的に無理が生じてもおかしくないのだが。