現代社会で理科教育が必要なわけ

内田さんのhttp://ameblo.jp/marika-uchida/entry-10224909727.htmlを拝見して、ふと4年前に川勝先生から伺った話を思い出す*1

現在、世界の科学教育のトレンドは、国家政策のレベルで科学リテラシを国民全員に等しく与えるようなプログラムを進めようという方向に行っているそうだ。例えばフランスでもその方向性の法案が先月通ったとのこと。中国や韓国でもトレンドに沿った方向への舵取りが進んでいるとのこと。
このトレンドの背景として三つの思想的背景があるとのことであった。それらは

  • 現在、人類は「文明誕生」以来の歴史的転換点にいる。
    人類は農耕・牧畜の開始に伴う自然の食物連鎖からの離脱によって、自然、環境あるいは生態系の「外部」に飛び出たという意識があったが、実は自らの活動が自然、環境あるいは生態系の「内部」にいることをハッキリと意識し活動する必要が、文明史上初めて生じた。
  • 科学技術が自然の回復能力を越えて自然を破壊できるようになった。
  • 科学技術が「良い」ものか「悪い」ものかハッキリしない場面で、各自の責任で判断をしなくてはならない状況が出てきた。

だから

しっかりとした科学リテラシ(これは表面的な知識ではなく、科学的な思考と判断をする能力である)の教育が「全員に」施されねばならない。
という話の流れだそうだ。
http://ud037.are.ous.ac.jp/d200505.htm#526

*1:リンク先の川勝先生の記事http://benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2008_15/fea_kawakatsu_01.htmlを読んで昔うかがった話を急に思い出したのだ。このBERDの記事の中には、この現代社会的背景の話は書かれていないが。