どこまでも迷走を続けるPTSD*1

<バスジャック>少年の中学校の母親らにPTSD 相談倍増 - Google 検索
記者名で検索をかけると、とある地方のさまざまなジャンルの記事が見つかるので、この地域の担当の記者なのだろうと思う。
平時ならば地域の行事などを取材して地方面で伝える地道な仕事をしていたんじゃないか。ところがバスジャックという「大事件」が起きて、それにまつわるどんな些細なエピソードでも「中央」でセンセーショナルに取り上げたがっていて、「とにかくネタを探して来い」と猛烈な圧力を「上」からかけられている状況で、一生懸命に記事ネタを探している姿………を想像してしまった。
想像しただけ。
最近の各新聞の「煽り」の酷さから見て、働かされている「下々の者」の姿を善意に想像してみた。それは「ジャーナリズム」ではなく「組織の悲哀」という想像。
そういう善意の斟酌をしたうえで、この記事は酷い。事件から1週間も経っていないし、事件の現場で被害に遭ってもいないのに「PTSD」という用語を用いている。これは「不安」とまとめるべきことではないだろうか。この記事に対する批判はこのブログが詳しい。

http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1754572
さて、問題の新聞記事の中に出てきたNPO「山口カウンセリング協会」のページを見た:http://www.cocoronet.info/。主に「TFT療法」という手法を使うようである:日本TFT協会ホームページ Thought Field Therapy。標準的な精神科のカウンセリング(心理療法士による面接と精神科医による薬の処方)についての記事をかいたページはこのNPOのサイトでは見つけられなかった。


気になることは「PTSD」という用語が記事のリリースに至るどのステップで入ったのかということ、記者がNPOの言うことを「右から左へ」流したのか、記者が「不安」を「PTSD」と言い換えて記事を書いたのか、煽りが好きとしか思えない「上」が、編集の段階で入れたのか。いずれにしても勉強していないジャーナリズムとして三流記事であることはたしかだと思う。
特にNPOのコメントを伝えた記事の最後の一文がおぞましい
「再発防止には『よい子』という表の顔に隠された裏の心理・精神状態の把握が不可欠」として、学校単位での心理テストの早期実施を県教委や市教委に近く要請する。