『ポニョ』を見た

雑多な感想…。
ポニョって肉食系の女子なんだね…。ハム好んで食ってたし…。
印象としてはユング『変容の象徴』『空飛ぶ円盤』、河合隼雄明恵』、映画『インデペンデンスデイ』に似ているなと思った。うまく映像化された夢(寝ているときに見るやつ)だと思った。例えば水没した町にアドバルーンのように浮いた漁船の下でたなびく洗濯物や、最後の試練の場所が最初は「空気泡の中」だったはずなのに「息の出来る水中」に化けていたりとか。(この辺の「水浸し」のモチーフは『あめふりサーカス』『千と千尋』でもあったなあ。)
その「夢らしさ」を強調するためか建物の線はグニャグニャしていたり(これはたけくまメモに書いてあったのを読み、見る前からとても気になっていた点)、背景をわざと全体にパステルタッチに描いている(これは事前に絵本を見ていて、その執拗さに気づいた)。
魔法世界の描き方は、あきらかに息子の『ゲド』へのあてこすりであろう。魔法を濫用してバランスを崩した世界というのは、このように描くものであると。
最も印象に残ったのは、フジモトが娘の生死と世界のバランスの回復を憂慮しているのに対し、グランマンマーレに「あら、わたしたちも、泡から生まれてきたのよ」とさらっと言わせて、ポニョの生死を超越した描き方をしていること。これは『もののけ』のシシ神の描き方、ものを言わず一歩歩く毎に草木が急激に生えては枯れるシーンに似ていると思った。(だから「生きててよかった」というコピーは実は相当な曲者であり、安直なヒューマニズムではなく、「無事でラッキー」みたいな含意を感じた。)
パロディとして気づいたものは、ポニョの本名が「ヴリュンヒルデ」であり(DVDの字幕にそう書いてあった)、生命の水のパワーを開放して大津波、大嵐を引き起こす場面のファンファーレがワグナーの『ヴァルキューレ』第3幕冒頭のパロディだし、その直前にあるポニョがフジモトの隠れ家を水浸しにして、渦にグルグル巻かれて、階段を流れ落ちる場面は『ファンタジア』の「魔法使いの弟子」のパロディ。
雑多な覚書おわり。