「スラッシュドット・ジャパン Submission | 気象庁は「防災のため」意図的に不正確な台風情報を流している」へのコメント

(100文字を越えたのでここに)タイトルは釣り?科学リテラシー少し低めかなと思った。[追記]リテラシーの高いコメントの方がブクマの対象だったのかも。[追記終わり]
台風のような自然現象は徐々に状態が変化するものなので、あるときパッと「温帯性低気圧」に変わるものではない。つまり「変化の時刻」で判断に幅があるのが当たり前であり、判断が少し遅めなだけではないか。「グレーゾーン」があると理解しつつ、防災上の心構えを「熱帯」から「温帯」への名前の変化で急変させず、天気予報を見るのが科学リテラシー的には最も正しい態度だとボクは思う。時刻の正確さは2次的な重要性しか持たない。
蛇足だが大雑把には「熱帯」は熱い空気の中でできる渦、「温帯」は熱い空気と冷たい空気の接触面で出来る渦という程度の理解はあっていいだろう。「温帯低気圧に変化」という表現は「台風が北上して冷たい気団とぶつかった」という程度の理解はあっていいだろう。
それから低気圧は冷たい空気の位置エネルギーが熱い空気とであって「落っこちて」風になることで駆動されるのだから、低気圧の「強さ」は熱い空気と冷たい空気の「温度差」で決まる。冬場のオホーツク海の低気圧が強いのは、シベリアの空気が異常に冷たいので南側の空気(冬場だから冷たいんだけどね)との温度差がとても大きいからだ。また春先の「爆弾低気圧」も冬場の冷たい空気と春らしい陽気の境目にできる。「温帯」の名称で気を抜いてはいけない。
でも気を抜く国民性がある(あるいはこの記事のように無駄な「正確さ」にこだわる国民性がある)のだから、各種防災の判断材料を提供する側としては、判断のタイミングを遅めに振るほうが社会の役に立つだろう。つまり気象庁の発表はわれわれの科学リテラシーの低さをオフセットとして妥当に取り込んでいる。
記事:気象庁は「防災のため」意図的に不正確な台風情報を流している | スラド Submission