覚書:Windows 8 が Windows 7/XP tablet に比べて劣化しており、タブレットPC向きでないと考える二つの理由

自分のための覚書。2007年10月から5年くらい Windowstablet PC *1を利用し続けている目から見た Windows 8 の利用1日目で見つけた「残念な」点。


今のところ非常に致命的な問題だと思われるのは「デスクトップ環境にスタートボタンが無いこと(笑)」ではなく、Windows 7 までならば設定ができたスクロールバーやタイトルのボタンのサイズ変更をする手段が全くないことである。正確には「デザインの詳細(XP)/ウィドウの色とデザイン(7)」ウィザードが無い(少なくとも簡単には見つからない)ことである。*2
VAIO Duo 11 は 11.6 型で 1920×1080 ピクセルの解像度を持っているので、デフォルトのウィンドウの最小化・最大化・終了のボタン、スクロールバーのサイズが指で操作できないほど小さくなる。Windows 7タブレットを利用したときには[ウィンドウの色とデザイン]からスクロールバーの幅を40ピクセルにしたりとかして対処できた。Windows の旧来のソフトウェアはメニューの部分などスタイラスが無いとかなり使い辛いものがあるのだが、このウィンドウのプロパティのカスタマイズで(不細工にはなるがwww)それなりに指タッチで利用可能なユーザインターフェースにはできた。このユニバーサルデザイン的な機能がWindows 8 で利用できなくなっているので劣化したと言ってよいと思う。将来的にタブレットPCは高解像度化が進むであろうから、メーカーがウィンドウのデザインをある程度コントロールしてから出荷できるようにしないといけないだろう。
なぜにデスクトップがマウスのような精度のでるポインティングデバイスを強要する状態に「逆戻り」しないといけないのか?


ついでに言うと、バリアフリー/UD機能としては「拡大鏡」という旧来のソフトウェアがあり、Win8でも搭載されているが、「ピンチアウトでデスクトップそのものが拡大表示される」みたいな機能が実装できていたらよりUD的になったかもしれない。


次に問題なのが手書き入力(Win7ならTabtip.exe)が若干、劣化したことである。Windows XP, Winodws 7 は(かつてのザウルスというPDAみたいに)タブレットスタイラス」の組み合わせで手書き入力をすると、漢字の認識は精度が素晴らしくて快適であった*3。これは Win8 でも同様だった。Win 7 までで問題だったのは、かな漢字変換の際にキーボードで使う IME と同様に

  1. [かな入力]
  2. [(クリック等で)変換候補の提示]
  3. [変換候補の選択]
  4. [挿入ボタンのクリック]
というおぞましい4ステップの入力が必要であったことである。iOSAndroid のような、
  1. [かな入力と同時に変換候補が提示]
  2. [候補のリストをタッチさえすれば結果が挿入]
というインターフェースでないと使い辛い。この部分が全く改善されないまま、さらには Windows 7 の手書き入力(TabTip.exe)にはあった「入力文字数が増えると入力パレットが自動で増える」機能が失われてしまったので、ちょっとした文節ですら入力できない(手許の VAIO では縦型画面のデフォルトでは3文字しか書けないので、かな変換の日本語入力の役に立たない)。タブレット型インターフェースの一つの重要なポイントであるだけに、残念である。多分、「次のOS」で改善するかもしれないが、失ったビジネスチャンスは大きいと思う。


Windows というのは「事務機器としてのPC」として一般のビジネスでの ICT な「文房具」なので、「タブレットとデスクトップの混ざり具合が中途半端」みたいな意見はあまり重要ではない。このタイプの意見は「タイプライター型+マウスによるGUIインターフェース」という Microsoft 社が(多分、Office 顧客の囲い込みのために)30年間全く進化させなかった事務機器的なPCにタブレット的インターフェースが中途半端に浸食してきたための些細な混乱に過ぎない。いずれ操作にみんな慣れざるを得ない。
「[スタート]ボタンが無い」というのは、タブレットPCでの利用ならば、画面の右隅で[左にフリック]=>(「チャーム」バー)=>[検索]=>[すべてのアプリ]で同じ機能に辿り着く、つまりアクションの数と動作の範囲が小さいので、多少はウザいが深刻な問題ではない。

*1:ThinkPad X60 tablet+WinXP, ThinkPad X201 tablet+Win7, VAIO Duo 11+Win8

*2:デザイン変更への辿り着き方の例:
Windows 7 の場合:[デスクトップ(右クリック)]=>[個人設定(R)]=>[ウィンドウの色]=>[デザインの詳細設定...]=>[ウィンドウの色とデザイン]
Windows XP の場合:[デスクトップ(右クリック)]=>[プロパティ(R)]=>[画面のプロパティ]ウィザード=>[デザイン]=>[詳細設定]=>[デザインの詳細]ウィザード

*3:手書きの精度は快適だったのだが、WindowsというOSそのものが「マウス+タイプライター型インターフェース」を前提としたダメOSだったので、その素晴らしさが生きる機会、普及する機会が全く無かった。