これを嘲笑うぐらいだから、「日本人には創造性が無い」「創造性の芽を潰す」と言われるのももっともだ

しがない地方の私立大学の「主に数学を教えている」先生*1の目で見ると、あれ!!??? 無重力の宇宙で、遠心力でなんかグルグル回して… - 人力検索はてなはアンケートを丁寧につけていたりしているし、どうみても釣りなんだが、これについたコメントを見たときに反射的に、子どもの認識にゆさぶりをかける授業を(20余年前に書いた小論) - samakikakuの今日もワハハ SAMA企画や前野さんの「これが二等辺三角形でないことぐらい、見たらわかるでしょ!」を思い出した。「エネルギー保存則に違反するからダメ」という趣旨のコメントが結構、多い。でも、これってアタマの悪い小学校の先生の理科のお説教みたいだ(リアル小学校の先生がたごめんなさい)。
ボクはこれを読んだ瞬間に「フライホイール*2」みたいなものを連想した。そして id:ululun さんの「遠心力で発電出来るんだったら、地球が自転する力で発電出来るんじゃね?」というコメントと、 id:T-3don さんの「地球の自転から電力を、というコメで思い出した。川原泉がスイング・バイの説明で「ビルゲイツのポッケから一円盗むようなもの」って言ってた。絶対気が付かないし影響しない、と。」*3 というコメントを読んで実際に計算をしてみた…というかかつて地球の自転の回転エネルギーは計算したことがある*4

まず地球の回転の運動エネルギーだが、地球の半径が r=6.4×106[m], 質量が M=6.0×1024[kg]*5, 回転角速度が ω=2π[rad]÷86400[sec]=7.3×10-5[rad/sec]なので、回転の運動エネルギーを質量一様の球で近似して求めると E=(2/5)Mr2ω2=0.4×(6.0×1024)×(6.4×106)2×(7.3×10-5)2=5.2×1023[J]である。
これを何と比較したものか考えたのだが、地球に降り注ぐ太陽光と比較してみることにした。
地球に降り注ぐ太陽光のエネルギーは 1.4×103[W/m2] であり、地球全体では 1.7×1017[W] であるから*6、1日あたり 1.7×1017[W]×86400[s]=1.5×1022[J] となる。したがって地球の回転の運動エネルギーは大雑把に見積もって、地球に降り注ぐ太陽エネルギー 35 日分程度
これってあんまりだよ、竹内先生 - あらきけいすけの雑記帳
大雑把にみてここ最近の一年間の人類のエネルギー消費量は約70億石油換算トンであり*7、これはジュールに換算すると 7×109[TOE]×4.2×107[J/TOE]=2.9×1017[J]*8なので、地球の回転エネルギーで人類のエネルギー消費をまかなっても地球の回転はほとんど減速されないだろうってことだ。これは事実上「無限」と言っていい(それとも1年間で10-6程度遅くなるってヤバいのかなー[2010.2.10追記]id:mobanama さまブコメありがとうございます。実はエネルギーの比を大雑把にとっただけの値です。計算を続けてみました。ちょっとビックリ→ *9 )。つまりこのアイディアは考えるもののスケールによっていろんな見方ができる。この辺の感覚の弱さってのが、今の日本の理科教育の限界なのかなって気がしなくもないけど…(大風呂敷だな)。
([2010.2.10追記]ビル・ゲイツの資産が2006年の時点で5.3T¥(5.3テラ円=兆円)なので*10、(ゲイツ)×ΔE/E=5.3×1012[Yen]×5.6×10-7=3.0×106[Yen]だから、「われわれのエネルギー消費(の地球の回転エネルギーとの比)はゲイツから300万円盗むようなもんだ」という表現になる…のか?ちょっとシャレにはしにくいなあ。(ほんとに計算ミスってない?>あらき))


もちろんフライホイールには「固定された容器」が必要だから、「地球の容器」なんて簡単には作れないし、作ったら「容器がお空をグルグルと巡っている」ように見えるだろうね。たぶんリアルな「容器」相当のものとしては id:nextworker さんのコメントのように月(それから太陽)があるけどね。



ぼくはやれるものなら
じゃあ、地球をフライホイールだと思うとどれくらいのエネルギーがあるのか計算してみようよ。さてまず計算に必要な知識だが…。
みたいな授業がやってみたい。

*1:出身は物理学科なんだけどね。

*2:フライホイール - Google 検索, フライホイール - Wikipedia

*3:スイングバイ - Google 検索 ボクは「ビルゲイツのポッケから1円盗む」というのは見積もりとしてはあまりにも過大評価だと思う(^^;

*4:これってあんまりだよ、竹内先生 - あらきけいすけの雑記帳

*5:地球 - Wikipedia

*6:太陽定数 - Wikipedia

*7:例えばhttp://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1022.htmlを参照

*8:Tonne of oil equivalent - Wikipedia 日本語が無いな。これだから日本人は…。

*9:自転のエネルギー E が 5.2×1023[J], 人類の年間消費エネルギー ΔE が 2.9×1017[J] なので、人類のエネルギーを自転でまかなった場合のエネルギーの減少分の比は ΔE/E=5.6×10-7 である。ここで地球の自転の角速度は ω∝E0.5 なので、自転のエネルギーが減ったとすると自転の角速度が減少する割合は Δω/ω=0.5×ΔE/E=2.8×10-7である。
 1年は 365[day/yr]×24[hr/day]×3600[sec/hr]=3.2×107[sec/yr] である。周期と角速度の間には Tω=(T+ΔT)(ω-Δω)=2π の関係があるので、1年の長さの延び ΔT は ΔT=T(Δω/ω)=3.2×107[sec/yr]×2.8×10-7=8.8[sec/yr]である。
 え?1年が10秒程度伸びるの?(計算でまぬけやってないかなー)

*10:ビル・ゲイツ - Wikipedia