ベルヌーイの不等式

解析教程 上 新装版

解析教程 上 新装版

教育用の覚書。自然対数の底 e (ネイピア数)の定義に現れる数列 a(N)=(1+1/N)Nが単調増加列であることの証明が思いつかなかったので、ハイラー, ワナー, 『解析教程(上)』を見てしまったのだが、その I.2, 演習問題 2.4 に次の二つの不等式が紹介されていて、この2番目の不等式を使ってくだんの数列の単調性を証明しろと演習問題2.5にあった*1
  1. a≧-1,n=0,1,2,..のとき (1+a)n≧1+na
  2. 0<a<1, n=2,3,...のとき 1-na<(1-a)n<1/(1+na)
この本で参照されている文献は『ヤコブ・ベルヌーイ(1689)『全集』(1744), p.380, バロー(1670)『著作集』(1860)第7講§13, p.224』である。2番目の不等式もベルヌーイの名前で呼んでいいのかは分からない。
1の証明のアウトライン:y=(1+x)nのグラフはx≧-1で下に凸で、y=1+nxはそのx=0での接線なので、(1+x)n≧1+nx.
2(左)の証明のアウトライン:y=xnのグラフはx>0で下に凸で、y=1+n(x-1)はそのx=1での接線なので、0<x<1 のとき xn>1+n(x-1).これに x=1-a を代入。
2(右)の証明のアウトライン:y=x-nのグラフはx>0で下に凸で、y=1-n(x-1)はそのx=1での接線なので、0<x<1 のとき x-n>1-n(x-1)>0.これに x=1-a を代入して逆数をとる。

*1:問題には b(N)=(1+1/N)N+1が単調減少列であることを示せともあった。計算してみると確かに b(N) は減少列であることが2番目の不等式の右側を使って示すことができた。へぇ。