10年後の子供の勉強のための時事の記録として

特定秘密保護法案が成立した。東日本大震災の発生から1001日目のことである。NHKでは『特定秘密「国際的基準を大きく下回り日本にとって後退」』というニュースを流し、ジョージ・ソロスの民主主義推進財団の声明を紹介していた(([http://www.opensocietyfoundations.org/press-releases/japans-new-state-secrecy-law-threatens-public-accountability:title]))。マイケル・ドイルの『民主的平和論』(([http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E7%9A%84%E5%B9%B3%E5%92%8C%E8%AB%96:title]))を額面通りに受け取ることはないにせよ、立法機関が行政機関に広範な裁量権を渡してしまい、三権分立という民主主義的な相互チェックのための社会のしくみを法的に後退させてしまったので、『民主的平和論』の論旨に沿って考えると国際紛争の政治的リスク(これは行政権の事項だ)が上がったと見ていいだろう((もちろんこれには隣の経済大国が決して民主主義的とは言い切れない体制であることも絡んでいる。『民主的平和論』の枠で見るとリスクの高い経済大国が隣接していることになる。))。安全保障に関する事項を秘密とするのは、現実の世界が軍事力を背景とした経済的な覇権争いの渦中にあり、日本がその国際的な枠組みの中でGDP3位の経済規模を実現している以上、必要な法制ではあるが、現状では政策の適否をチェックするための規定が弱すぎるように思われる。

せっかく『衆議院選挙無効』『参議院議員無効』の判決が出て、司法がようやく立法に対するチェック機能を果たし始めて*1まともな三権分立の機能する民主主義国家へと一歩前進し始めていただけに、わたしは将来が不安である。
民主主義的な制度、手続きが民主主義を後退させる例には、ワイマール憲法下のドイツからナチスドイツが成立した例があるので、民主主義を維持していくのも努力が必要なものである。
[2013.12.12]河野太郎氏のブログを読んで、いままではかなり野放図に秘密指定が出来ている状況を知る。そういう側面もあるのか:http://www.taro.org/2013/12/post-1426.php

*1:行政に対する違憲判決なら下級審で何個も出てたけどね。違憲立法審査権もまともに動いたことがないし。