2×2行列のn乗

3項間漸化式が解ける人ならば2×2行列のn乗も解ける。というのも2×2行列の場合のケーリー・ハミルトンの公式を考えてみよう:

A=\left(\begin{array}{rr}a&b\\c&d\end{array}\right)のときA^2-(a+d)A+(ad-bc)E=O.

これの両辺にA^nを掛け算すると次の式を得る:

A^{n+2}-(a+d)A^{n+1}+(ad-bc)A^n=O.

この式を見たときに、3項間前科式a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n=0と形がまったく一緒じゃないかということに気が付くはずだ(というか、気付けよ)。この漸化式の答えが次のようになる:

a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n=0\Longrightarrow\large a_{n}=\frac{(a_1-\beta a_0)\alpha^n-(a_1-\alpha a_0)\beta^n}{\alpha-\beta}

これが分かっていればaAに、下付き添え字を上付き添え字に切り替えれば答えが出る:

A^{n+2}-(a+d)A^{n+1}+(ad-bc)A^n=0\Longrightarrow\large A^{n}=\frac{\alpha^n}{\alpha-\beta}(A-\beta E)-\frac{\beta^n}{\alpha-\beta}(A-\alpha E) ただし\alpha+\beta=a+d,\alpha\beta=ad-bc.

もちろんここで「\alpha,\betaの値はいくらですか?(ここを嫁)」「\alpha=\betaだったらどうするんですか?」とツッコんではいけない。「自分でやれよ!」と切り返されるだけだからである。