部分分数分解 (partial fraction decomposition)
部分分数分解の要点は有理関数の分母に因数(x-a)mがあったら(これを「x=aでm位の極を持つ」という)、その関数を
と(x-a)の1次からm次までの分数関数の和に分解できるということ*1。ただし左辺の Q(x), P(x) の因数分解は(x-a)を含まないし*2、分子 Q(x) の次数は分母 (x-a)mP(x) より小さいとする。
例題:を部分分数分解せよこの分数関数はで3位の極、で1位の極だから、の形に式を変形できる。通分すると解ける。が、わずらわしいので「 Heaviside の方法(Heaviside's cover-up method)」を使って係数を決めよう
解答:
の両辺にをかけてというわけで、とわかる。次に(1)の両辺をで微分して
(1)
となる。この両辺にを代入して
(2)となる。この両辺にを代入して, すなわちと分かる。ここで右辺の第3項の導関数はの近傍でよりであるからで0になる。次に(2)の両辺をで微分して
(3)となる。この両辺にを代入して, すなわちと分かる。ここで右辺の第2項の導関数はの近傍でよりであるからで0になる。
Dの求め方は
の両辺にをかけてというわけで、とわかる。
(4)
となる。この両辺にを代入して
追記 2009.8.4
2009.8.4 現在 google 検索上位(部分分数分解 - Google 検索)の中では http://www.nicovideo.jp/watch/sm3369983 がお勧め。金沢工業大学のページはちょっと勧められない。
どうしても解けない問題があったのでご指導お願いします。たぶん、こんな回答を書いたら学生に嫌われる:
を部分分数に分解する問題なのですが分子がどうしても求められません。よろしくお願いします。下の式を
の三項に分けるのですがBをax+bの形に置いて解くのは間違いでしょうか?
http://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/q-and-a/2003/06/20030627-1.html
あらきの回答:間違いです…というか意味ないです。ヘビサイドの方法だと、広島工業大学の問題(http://next1.cc.it-hiroshima.ac.jp/MULTIMEDIA/calcans/node91.html)の1問目はこう解く:
なぜならと書き換えられるので分子に1次式を置く意味がありません。(ところで、この式変形が部分分数分解に他ならないことに気づかれましたか?>金沢工業大学の担当者)
問題:…(1) のA,Bを求めよ
http://next1.cc.it-hiroshima.ac.jp/MULTIMEDIA/calcans/node91.html
解答:
式(1)の両辺に(x-2)をかけて
この両辺に x=2 を代入して ∴A=1
式(1)の両辺に(x+5)をかけて
この両辺に x=-5 を代入して ∴B=-1