グラフの拡大・縮小・平行移動(書きかけ)

数学のツボって何だろう?「(グラフ、図形という名の)イラスト、イメージ」と「(数式という名の)文」の繋がりを覚えること…という気もする。叙景詩の世界と言えなくもない*1


その中で基本になるのがこれ:

元のグラフを「右に*2aだけ平行移動する。\Longleftrightarrowグラフを表す式の中のxx-aに置き換える。

上下方向はというと

元のグラフを「上に」bだけ平行移動する。\Longleftrightarrowグラフを表す式の中のyy-bに置き換える。

もちろんこれだけでは足りなくてグラフを上下左右に拡げたり、縮めたりする操作も必要。

元のグラフを「左右に」c倍にする。\Longleftrightarrowx\large\frac{x}{c}に置き換える。
元のグラフを「上下に」d倍にする。\Longleftrightarrowy\large\frac{y}{d}に置き換える。

気をつけなくてはいけないことがある。この計算では原点を中心として左右、上下に拡大、縮小が起こる。だから上下、左右への移動の操作は、拡大、縮小の操作を行なった「後に」にやらないといけない。

[この辺、いろいろ書く予定]

これがなぜ大切かというと、「同じ〈形〉とは何か」について語っているからである。「同じ形」というのは、数学的には「アファイン変換 (affine transformation, *3 ) で互いに相手に移ること」と言える。

放物線の図
式の見た目は違っていても、絵に描くと似たような形となることがよくある。この意味で式: y=ax^2+bx+c で表される放物線は全部同じ形をしている。右の図は座標軸を全く描かずに放物線を描いたものである。この形から係数 a,b,c を決めたくても決めようがない。というのも

y=ax^2+bx+c\Longleftrightarrow\large\frac{y-\left(\frac{4ac-b^2}{4a}\right)}{a}=\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2

と式変形をやろうと思えばできる。これから

放物線: y=ax^2+bx+c は、放物線: y=x^2 を「x-方向に -\frac{b}{2a} だけ平行移動」、「y-方向に a倍拡大し、それを \frac{4ac-b^2}{4a} だけ平行移動*4」した図形

と言える。放物線のグラフを描くときには「座標軸を描いて、放物線を描く」のではなく「放物線を先に描いて、それとつじつまが合うように座標軸を描く」ときれいに描ける*5

*1:「表現に融通がきかないじゃないか」というツッコミは今はなし。

*2:(x,y)座標を考えている。x-軸は左から右に、y-軸はしたから上にいくと数字が大きくなるとする。

*3:「回転変換はどうした?」というツッコミや、英語のページにリンク張るなというツッコミは今はなし。それ以上に「円」と「楕円」を同じ形と見なすのは無理じゃないのか、というツッコミもあるだろう。

*4:「拡大」と「平行移動」の順番を変えると話が狂う。

*5:この辺は、文章が「結論を先に書いて」、後から「前振りの文章」を考える方が、出だしの文章で苦しむより楽なことに似ているかもしれない。