対数関数を作る
教育用の覚書。対数則と微積分の知識だけから関数を定義する。
- 対数関数とは任意の a, b に対し対数法則 F(ab)=F(a)+F(b) を満たす関数である。
- ここで b=1 とおくと F(a)=F(a)+F(1) より F(1)=0 となる。
- b=0 とおくと F(0)=F(a)+F(0) が任意の a で成り立たねばならない。だから F≠0 な関数を探すとすれば「F(0) は定義できない。」
- F(ab)=F(a)+F(b) の両辺を b で微分すると a F'(ab)=F'(b) となる。この式も任意の a, b で成り立っているはずだから、b=1 を代入して a F'(a)=F'(1) となる。これが任意の a で成り立っているので、F'(a)=F'(1) a-1 となる。したがって F(x) は x-1 の積分に比例する*1。
- ここで と置くと、F(1)=0 より c=1 となる。よって対数関数とはで定義される関数である。
- ここでF'(1)=1の場合の積分を計算しておけば、任意の対数関数はそのF'(1)倍をするだけでよいことも分かる。だから積分 で与えられる対数関数がすべての対数関数の基本となる。これを自然対数という。
公式集 (モノグラフ) p.265 の議論では f'(x)=a/x より f(x)∝ln|x| としている。
追記 2009.7.20
1/xを積分することでなぜlogxが生まれるの? 哲学的意味は? -まず、xと- 数学 | 教えて!goo
対数法則そのものから∫dx/xを導出できることって意外と知られていないのかな?
*1:「任意のa,b」と表現してきたが、F(x)∝∫dx/xから a, b が「ゼロをまたがない」すなわち同符号となるものに制限されることが分かる。そしてF'(1)を使っているので, a, b は正の数となる方を選んでいることになる。