加法定理の証明(正射影計算バージョン)

講義の補助のための覚書。正弦、余弦関数の加法定理を点Q(\cos(A+B),\sin(A+B))の直線\ell_1:(x,y)=t(\cos A,\sin A), \ell_2:(x,y)=t(-\sin A,\cos A)への正射影を使って求める。
Qの\ell_1への正射影の足をP:(x,y)=t_1(\cos A,\sin A)とおくと\ell_1\vec{\rm{PQ}}は直交するので、\cos A(t_1\cos A-\cos(A+B))+\sin A(t_1\sin A-\sin(A+B))=0.ここでt_1は射影の足の長さと(\cos A,\sin A)に対する方向を表すので、t_1=\cos B.これより

\cos B=\cos A\cos(A+B)+\sin A\sin(A+B)
Qの\ell_2への正射影の足をR:(x,y)=t_2(-\sin A,\cos A)とおくと\ell_2\vec{\rm{RQ}}は直交するので、-\sin A(-t_1\sin A-\cos(A+B))+\cos A(t_1\cos A-\sin(A+B))=0.ここでt_2は射影の足の長さと(-\sin A,\cos A)に対する方向を表すので、t_2=\sin B.これより
\sin B=-\sin A\cos(A+B)+\cos A\sin(A+B)
これを\cos(A+B), \sin(A+B)について解けば加法定理の公式を得る。

この計算のための予備知識

  • 角度はx-軸の正の方向から反時計回りに数える。
  • 余弦関数、正弦関数は、その角度の動径と単位円x^2+y^2=1の交点からx-軸, y-軸への正射影で与えられる。だから任意の角度Aに対して\cos^2A+\sin^2A=1.
  • 直線の式のパラメーター表示。
  • ベクトルの内積。直交条件は内積がゼロ。

あまりよい教材にはなりそうにないかな。