「文系か理系か」って肝心なとこじゃないと思うんだけど

Benesse教育研究開発センターが選ぶ「調査データクリップ!子どもと教育」2007年11月27日(PDF:http://benesse.jp/berd/data/dataclip/clip0011/clip0011a.pdfhttp://berd.benesse.jp/berd/data/dataclip/clip0011/index.html*1)の中に「■進路選択を意識した時期*2」の統計データが掲載されている。これによれば「文系・理系を意識した時期」は高校1年生までに8割以上の学生が意識しているが、「職業を意識した時期」に関しては大学生を含めても8割にわずかに満たない。
大学進学者という部分を割り引いて考えても、就職や職業に関する意識形成のペースが遅いんじゃないかというのが最初の感想(アンケートの訊き方の問題ってのもあるかもしれんのではあるが)。大人になるってことを「親」と「学校」がどう考えているんだろう?
大学が「学歴ブランディング機関」ではないかと viking さんが書かれており(http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2621*3)、その傾向はボクもよく知っている(つもりだ)が、101歩譲って「ブランディング」を認めるとしても、この「ブランド化」と「就職/職業意識の全体的な低さ」が並走しているという状況の方がより問題ではないかと思える。日本の社会が全体として「大人」の再生産を放棄しているようにも思えるからだ。

*1:2014.9.1リンク差し替え

*2:「平成17年度経済産業省委託調査 進路選択に関する振返り調査−大学生を対象として−」(Benesse教育研究開発センター,2005)

*3:このような意見は多分、「昔から」ある。たとえば河合隼男『日本文化のゆくえ』(岩波書店, 2000, isbn:9784000017572)のp.55に

これにヒントを得て、筆者は 日本人がまだままだ階級というより 「身分に」とらわれているためだと 考えた方がいいと考える。 そして、それも単に「大学出」という身分ではなく、 「××大学出」ということを ひとつの身分と考えるのではないか と考える
とある。